地域特産品のお店
ブログ
2010年3月30日 12時14分

東近江の食:地産地消を広げ地域の魅力を深める調味料調査

1.       背景
行政主体の地産地消はどうしても農産物に偏り、その加工品は特産物でない限り調味料のようなものは地元でも知られていないことが多いです。それどころか身近なところで作られていても販売しているところが少なく、簡単に手に入りません。地産地消を推進するとともに、対象エリア内の地域ごとの味の差などを感じる機会の少ないことも問題と考えられます。調味料調査を行い、地産地消にまでこだわった食の商品開発や対象エリアにおいて生産されていない調味料をどう捉えていくかにも新たな商品開発の可能性も考えられます。

 
 2.       目的
湖東地域の調味料の生産状況を把握するとともに地産地消の農水産物と連動した郷土食の見直しのきっかけを作り、和の漢方とも言える食のあり様を見出したり、地域間の食材連携の橋渡しなど新たな食の発見による湖東地域のブランド資源となるコンテンツを発掘します。
 
 3.       活動の内容
3.1.  取り組みの内容
湖東地域の多様に調味料を収集し、地域の観光スポットやコミュニティセンターとして役割をなす場で展示し、同調味料を使った地域の伝統食を作って食べる場や食に関する講演などのイベントと組み合わせてその存在を紹介していきます。そういう場の人の交流から生まれるアイデアや意識を汲み取っていくことで次の活動につないでいきます。
 
3.2.  活動計画とフィールドワーク
活動を開始するにあたり,以下の計画を立案しました。
(1)     事前準備: 対象地域における調味料生産者を調べます。
(2)     調査要領の確定: 自対象地域における生産者の調味料品目を確定します。さらに、販売状況を確定します。また、郷土食のレシピなどから調味料の使われる状況を把握します。
(3)     フィールドワーク: 調査要領にもとづき、対象地域における販売店で調味料を購入し販売状況の調査を行います。販売店が地域内に少ない場合、直接生産者にあたり、販売状況などを調査し、課題を抽出します。
 
2009年 11月:具体的な活動項目の明確化と活動準備
2009年 11月 12月:事前準備と調査要領の確定
2009年12月/2010年1 月2月3月:フィールドワーク

調味料の収集は、生産者住所周辺の販売店を中心に地方スーパーや地域スーパーなどの販売状況を視察して、実際に売られている状態とナショナルブランド品との棚割状態を把握しつつ、販売店に可能な限り地域住民の使用状況をヒアリングしていきます。
その際に入手できなかった収集対象の調味料は生産者の直接交渉して入手、地域の販売状況や他府県への出荷などをヒアリングしていきます。

展示とイベント

常時展示
 DIG’SIMGP1679.JPG
2010年3月8日~:近江八幡市 カフェDig’s

期間展示

 2010年31314日:近江八幡市 白雲館左義長祭りに合わせた食のイベントです。竹箸の手作りワークショップ参加者には地域の食に親しんでもらえるように割引がきく特典を用意したり、郷土料理の書籍コーナーを用意したり、地域の郷土料理を味見しながら地元の人のトークイベントに参加してもらうなどを調味料展示とともに行いました。
白雲館CIMG0824.JPG

CIMG0962.JPG


2010年3月17日~19日:彦根 街の駅「力石」
平日のカフェ営業に来られた地域の人々に観てもらえるように入り口に展示しました

2010320日:多賀 里の駅「一円邸」
蕎麦打ち講習会にて参加者全員で作った蕎麦に舌包みを打ちながら、蕎麦つゆに重要な醤油の話題に展示を見ながら話が弾みました。
一円IMGP1753.JPG

20103202122日:東近江市能登川 ファブリカ村
カフェと工芸イベントで広域から人の集まるファブリカ村に展示。
客層には食に敏感な人も多いため注目度も高いとのことでした。
北川ファブリカCIMG1881.JPG

2010年323日~26日:東近江市八日市 レンガのえんとつとまれ

地域の方に地産地消の食材で郷土食と創作料理を組み合わせて提供するレストラ
ンでは、食に感度の高いアンテナを持つ人も多いうえ13日以降商店街や平和堂に
て地産食材のイベントも連続して行われたこともあり、反響も高かったです。



対象地域調査の整理
2010年3月: 調査結果の整理・解析
2010年 3月:活動成果報告および提言

4.       調査結果
●醤油
 中山道や東海道に合流する御代参街道に沿った形で、水に恵まれたエリアに生産者が点在しています。近江八幡や彦根などある程度古い時代から都市化した地域では小さな醸造所が非常に判りにくく情報収集が難しいです。現在は豊郷の組合において合同で製造されていますが、各生産者の従来からの商品ラインアップとその味を守る形で、多様な味が生産できるようになっている点が興味深いところでした。同じ生産者でも金・銀あるいは特選と並みと言う風に2種類の濃口醤油の味の違いを伝統的に生産しており、それ以外に淡口醤油に加え、たまりや刺身醤油を用意し、だし醤油やぽんず醤油など多様な関連商品も生産し、それぞれの特色を出しています。本醸造に関してはマルキ醤油の喜代冶と丸中醤油があったが、マルキ醤油では組合生産の近代製造法と喜代冶の本醸造の伝統的製造の2本立てを行っている点が興味深いです。豊郷から愛知川には醤油生産者が多く、味の違いが比較できる環境であったからこそ、組合での合理的な生産方法においても、それぞれの味を出せるように多品種少量生産を可能にしている点は非常に優れたノウハウが蓄積された組織と考えられ、地域の特質を生かした商品開発を行える可能性を秘めています。

 ●味噌
 
味噌の生産者は醤油と比較して少ないです。理由は手前味噌で自家生産しているケースが多く需要が少ないということも予測できます。
 

●酢
酢も醤油と比較すると生産者は少ないです。醤油・味噌ほどの消費量ではないためであると考えられます。米酢であるが本醸造ではなく近代製造法です。
また、業務用であるが酢の大規模工場もあり、米と水の良い地域であるため醸造ノウハウのある地域であることがうかがえます。同工場ではワインビネガーやりんご酢、ドレッシングなども生産しているが、業務用であり残念ながら手に入りません。地域の物産センターに観光物産としての位置づけと地域の健康に貢献できるように特別に黒酢を卸している点も興味深いです。

●日本酒
日本酒は料理に使うときよい酒であればなおよいですが、コスト的に嵩むため味の評価の高い日本酒が多いということから上選クラスのものを集めました。日本酒は販売店が決まっていて製造者の近くであっても取り扱っていない場合もあり、いざ多様に集めてみるとなると入手は大変です。日本酒も醤油同様に、中山道や東海道に合流する御代参街道に沿った形で、水に恵まれたエリアに生産者が点在しています。滋賀県では琵琶湖があるおかげで淡水魚の刺身を食べる習慣があるため酒を用いた刺身用の調味料を作る場合に比較するため、上選クラスと比較してみるために吟醸クラスの小瓶も幾つか集めてみました。

●ワイン
赤白ともに甘い目のワインであるため、使用できる料理は限られてきますが、その甘みを生かした料理やお菓子にはよい材料と言えます。


●香辛料
唐辛子において特筆すべきものがあります。これは新たな食品の商品開発などに重要な役割をなすと考えられます。いわゆる甘めの唐辛子ではなく伝統的な非常に辛い鷹の爪を自ら栽培して自家工場で乾燥し粉末にしています。一味であっても粒上の粗いものではなく微粉末で洋風料理や隠し味の使用ができ幅広く使える。また青唐辛子の段階の粉末もあり、エスニックなどに用いるのに便利ですが、これはここだけしか作られていないオリジナル製品で認知さえされれば、エスニック料理を作ることも多い都心部で売れそうなスパイスです。
また、業務用のスパイス工場もあり、水の良い地域であることを改めて感じます。多様なスパイスを業務用に供給しています。残念ながら一般は入手できません。

●その他
塩はとれないがアンデスのローズソルト(岩塩)を輸入販売していて、鉄分などのミネラルが多いため女性に薦めたい塩です。地産の香辛料などを使った加工品調味料もいくつかあり、用途に合わせて知っておくと便利です。
また、特産の梨を活用したナチャップや梨ドレッシングなど、興味深い商品開発がなされていて、水の良い地域の調味料の産地であるというブランドを高めていくことでもっと認知度を上げていけると考えられます。

5.活動で得られた効果
展示しているものを見に来られたプロの調理人が醤油は地産品を用いているが、こんなに多様にあるとは知らなかった、今後は他の調味料まで検討して地産の食へのこだわりを売りにした展開を行いたいという声がありました。同様に地産食材と同調味料を使った食を食べてみるイベントでは、その味の良さに地域の食を古臭いとかのイメージを払拭してもらえたことも効果的でした。
また、小学生が興味を持ってくれたことで、夏の自由研究に使いたいという声もあり、食育を行っていけるきっかけとなるとお母さんが喜んでおられ、年齢を問わずこういった情報を観光物産的に扱うのではなく身近な情報として欲しているという実態もつかめました。
今回積み残された課題は実際に同種の調味料間のテイスティングです。そういう機会を設けることで、調味料や食材に対するこだわりを一層強められると考えるので今後の課題と言えます。残念なことに全てを集めるには至らなかったが、これだけ各地域のものを集めたことで多様な反響が得られたことで、テイスティング用の食材を今後の各地域の食のイベントに提供していくことで、より大きな効果を得られると予測できます。
また、ラベルやパッケージなどにおいて、伝統を活かしたうえで、どのようなブランドを再構築していくかという点で丸中醤油は戦略的と言えます。これを手本にそれぞれをどう魅力的なものに伝えるかは課題と言えます。また、醤油にみる生産の共同化と同様に、単なる連携を超えた各々が生きるような宣伝や広報の在り方とともに物流コストの削減まで念頭に置いた共同化により、東近江ブランドを訴求することが調味料だけでなく農水産物や加工物など食全体に必要と考えられます。
 
 
 

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